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どこでもセーブ 第1話

『それ、ジャーンプ!』
ヒカルは学校の屋上から勢いよく飛び降りた。
ヒューーーーー。
『くぅ、気持ちいいー! ジェットコースターよりもいいぜー! ではそろそろ…』

・・・・・・
・・・・・・!?

「ここがこうなるから、XとYの値は…。こら、ヒカル、聞いてるのか!?」
『…あ、ごめんなさいー。聞いてます聞いてますー。』
ヒカルは数学の授業を受けていた。

『(…ふぅ、さっきの余韻に浸ってしまっていたなぁ)』

キーンコーンカーンコーン。
下校の時間となった。

『さぁ、今日は何しようっかなー。とりあえずここで…』
・・・・!?
『さぁレッツゴー』

ヒカルは帰りながら回りをキョロキョロ見回していた。
『なにか面白い事ないかなー。』

キキーーーー ゴーーーン!!!

そこへ突然車がぶつかった音が鳴り響いた。

『わっ、どうしたんだ!? いってみるか!』
ヒカルはその場に駆けつけた。

『こ、これはひどいな…』
そこには電柱にぶつかって大破している車があった。
窓ガラスがあたりに飛び散っていた。

「わーーーん!!わーーーん!!」
その横には大声で泣いている子供がいた。
『(子供をよけようとして電柱にぶつかったのか…災難だな…)』

『この様子だと運転手はただじゃすまないな…』
ヒカルは車の中の様子をのぞいた。運転手がうなだれていた。

『よし、こういう時こそ、あれを使うか!』
ヒカルは目を閉じて何やら念じ始めた。
『…ローーーーード!!!!』

ヒカルの体が急に青白いオーラに包まれた。すると突然ヒカルは姿を消した。


・・・・キーンコーンカーンコーン。
下校のチャイムだ。ヒカルはそこにいた。

『ロード完了ー! さぁ、先にあそこへ行くぞー』
ヒカルは走ってさっきの事故現場へ向かった。

『到着ー。お、子供がいるいる。』
そこにはまだ車はなかった。
『そろそろ車が来る頃かな。…おっ、現れたぞ』

車が猛スピードで走ってきた。そこで子供が車に気付かないまま急に道に飛び出した!
「わっ、な、あぶないー!」運転手はとっさにハンドルを切ろうとした。
『今だ、しゅわっちー!』
ヒカルは子供を抱えて連れ戻した。
『寸前セーフ!』

キキーーーー!! 車がブレーキをかけてストップした。
ドアを開けて運転手が現れた。

「いやいや、危ないところでした。子供を助けてくれてありがとうございます。もし、あのままいってればどうなっていたことか…。」
『いえいえー。僕がここをたまたま通りかかってよかったです。』
「ほんと奇跡みたいなものですね。私がスピード違反していたのも悪かったんです。ほんと取り返しのつかなくなるところでした。お礼といったら何ですが、こちらを…」
運転手は現金を差し出した。
『いえいえ、いりませんってー!』
「そんなこと言わずに…。感謝の印としてですよ。あとスピード違反罰金料として(笑」
『そうですか(笑) では受け取っておきます。ありがとうございますー!』
「こちらこそありがとうございました。それでは。」

車は去っていった。

『うーん、いい事をしたなぁ。人を助けてお礼をいただいた――。いい事をしたらいい事が返ってくるかぁ!』
「お兄ちゃんありがとう! これあげる!」
そこにいた子供がチョコレートを差し出した。
『おっ、サンキュー。 でも、これから気をつけろよ。急に道に飛び出すなよな。』
「うん!」

ヒカルはその場を離れた。
『さらに子供へ教訓して、チョコレートをもらった、と。オレっていい事しすぎー!』

『ほんとこの能力っていいよなー! この、”どこでもセーブ”は!』