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どこでもセーブ 第2話

『あーーーー! 録画予約していたドラマが野球の延長せいで撮れてないー!!』
しかしヒカルはショックの様子を見せなかった。

『ふふふ、2時間前にセーブしておいてよかった。 では、ローーード!!』
ヒカルの体が急に青白いオーラに包まれた。すると突然ヒカルは姿を消した。

同じ部屋にヒカルが現れた。
『ロード完了! 今の時間は、と。。。8時50分だな、よし。 ビデオ録画を30分延長して、と。。。 んじゃ風呂入ってこよ。』

・・・そして次の日。

『今日は学校が休みの土曜日! どっか出かけようー! …おっとその前にこれをして…』
ヒカルは目を閉じて何やら念じ始めた。するとヒカルの体が青白いオーラに包まれ出した。
『…セーーーーーブ!!!!』
ターンタンタララン ラララーン♪
どこからともなく曲が聞こえてきた。

『よし、セーブ完了っと。ではいくぜ。』

ヒカルは外をぶらぶらと歩いていた。
『なにか面白いことないかなー。あ、昨日見た推理ドラマでこんなこと言ってたな。”殺人事件を未然に防ぐ、これほど探偵として嬉しいことはありません。”って。 じゃあオレもチャレンジしてみるかー。まぁでも殺人事件なんて身近で起きるわけないけどな。はは』


「キャーーーーー!!!!」
そこへ突然、悲鳴が鳴り響いた。
『ま、まさか殺人事件!?』

ヒカルは悲鳴の聞こえた家まで駆けつけた。
周りにはすでに野次馬たちがむらがっていた。
「どうしたんだ?? え、バラバラ殺人だって!?」

そこには一人の女性がわめき泣いていた。
「主人が、主人がーー!」

『(どうやらこの奥さんのご主人さんがバラバラ遺体で見つかったようだな。ひどい。。 しかし一体誰が…。)』

しばらく待っていると警察が現れた。そこに探偵らしき人物も一緒に来ていた。
「任せて下さい、警部。この事件は、この名探偵”小五郎キッド”が必ず解決してみせます!」
「よろしく頼むよ、キッドくん。」

現場検証が始まった。遺体はポリ袋に入れられて回収されたようだ。
被害者の奥さんは、しばらく茫然としていた。

しばらくして被害者と関わりのあった3人が呼ばれて現れた。
いずれの人物もこの日、被害者の家を訪問したらしい。
そして人物尋問が始まった。

『(ふむ、容疑者みたいだな。誰かが犯人なのだろうか。さっきの探偵の人も一緒に聞いてるみたいだな。)』
ヒカルはその様子を離れて見ていた。現場には警察と関係者しか近寄れないからだ。

『これじゃ全く分からないよな。よし、こうなったら誰が犯人か先に知ってやる! 』

ヒカルは目を閉じて何やら念じ始めた。
『…ローーーーード!!!!』
ヒカルの体が急に青白いオーラに包まれ、ヒカルは姿を消した。

ブオーン。セーブした場所へヒカルが現れた。
『さぁ、先に現場へゴーだ!』
ヒカルはダッシュして、これから殺人事件のある現場へ向かった。
『さぁー、犯人の顔を拝見させてもらうぜ!』

ヒカルは被害者の家に到着した。塀の上によじのぼり、家の中の様子を伺った。
『…うーん、今はどういう状況なんだろ…。』
ヒカルが目を凝らした時、何やら被害者らしき人が見えた。そこにもう一人人物が。
『…げええ!!! い、今、殺人中!?…というより切断中!? そしてあの人は…!!
うっ…。しかしこんな様子を見るものじゃないな…。気持ち悪い…。
だけど殺される前には間に合わなかったか…。この様子からするとオレがセーブした時点でもう殺されていただろうな…。』

ヒカルはポケットに入れてある小型デジカメを取り出した。
『この様子をカメラに保存しておくか。決定的な証拠になるよな。』
パシャリッ。

そして時間が過ぎるのを待った。
先ほどと同じように奥さんの悲鳴が聞こえ、警察が到着し、容疑者が現れた。
そこでヒカルは警察に、重要な事を知ってるとの旨を伝え、現場に入れてもらった。

「さぁ聞かせてくれたまえ。君の知ってる事を。」
『では言います。僕は犯人をこの目で見ました! 遺体をバラバラにしてる様子をです!』

「な、なんだってー!!」
そこにいた一同全員、目を丸くして驚いた。それは当然だろう。
一番驚いたのは犯人かもしれない。

「で、ではその犯人とは一体誰なんだね…?」

『はい、犯人はあなたです!』
ヒカルは探偵気取りで犯人を指差した。その指先には、被害者の奥さんがいた。

「え、わたし…!?」

『はい、証拠がこの写真です。』

警部が写真を手に取った。「こ、これは決定的だ…!」

「そ、そんな…。この日のために、私以外の人を犯人に仕立て上げるためのアリバイ工作や、偽のダイイングメッセージを用意したというのに…」

奥さんは警察へ連行された。
「ありがとう、えっと、ヒカルくん。君のおかげで事件がすぐに解決できたよ! 本当に感謝するよ!」
警部から感謝されたヒカルだったが、、、そこに小声で話しかけてきた人物がいた。
「困るよ、ヒカルくん。私がこの事件を解決しようと思っていたのに。。。何のために私がここに来たのか分からなくてかっこ悪いじゃないか。。。」
さっきの小五郎キッドという探偵だ。
『え…、そんなこと言われても…』

その話を聞いていた警部が怒鳴りつけた。
「ばかもん! これは事件だ!探偵ごっこじゃないんだぞ! 早急に事件を解決できること程、ありがたいことはないんだ!」
「い、いや〜、ちょっとしたジョークですってー、警部!」
「全く、君というやつは…」


事件が落着した。
ヒカルは家へ帰る途中でこう思った。
『はぁ〜、事件を解決できたのはいいけど、あの殺人現場を見たのはショックだったよな〜。この能力もいいことだけとは限らないよな。。。この”どこでもセーブ”は…』